奔走

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この部屋だけは清潔に整備されていて、一目でわかる精密機械や、薬品棚などが置かれている。 これは……本格的にまずい。 いよいよ危機を感じてきた。 背筋に嫌な汗が流れ始める。 俺達は武器を向けられたまま、部屋の中央に連れて行かれる。 この場にいるのは全員で十数人と言ったところ。 全員武器を所持していて、何人かは魔法使いがいる状態。 たぶん半数くらい。 魔法さえ使えたら、菜乃を庇ったままでもどうにか脱出できなくはない。 でも、今は魔法が使えない。 不意に、視界の隅にアリオンが置かれているのが見えた。 一番端。 取りに行くには距離がありすぎる。 例え手にすることができたとしても、魔力が使えない今の状況では復元すらできないだろう。
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