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助かる方法と言えば、今のこの状況を外の誰かに伝え、皆に助けに来てもらうことだが……。
それは望み薄だ。
持っていた携帯電話なんかも取り上げられている。
連絡する手段がないし、そんな隙をくれるとも思えない。
「これから君達には、ちょ~とした実験に付き合ってもらうからね」
長い白衣を着た眼鏡をかけた男が、楽しそうに笑いながら俺達に言う。
やっぱりそう来たか。
この眼鏡をかけた男が、研究を中心にしているように見える。
リーダー格の男は別にいるが、その男は出口の近くからつまらなさそうにこちらを見ている。
どちらかと言えば眼鏡の男が一番偉いみたいで、出口にいる男が拉致などをするチームのリーダーと言ったところだろう。
逃げようにも強行突破では抜け出さそうにはない。
この部屋に窓はないし、ここから抜け出すにはあの出口を使うしかないのだが……。
怯えている風を装いながらも俺は冷静に、決して焦らないように周りの状況を分析していく。
菜乃も体調や毒のせいで最悪の状態だというのに必死に堪え、努めて冷静にしていた。
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