皆の家族

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俺は二人が菜乃のことをどれほど心配しているかがわかり、すぐに話を切り出すことにした。 「はい。菜乃さんから預かりものをしてきましたので、お届けにきました」 二人の目が大きく見開かれる。 「どういう……ことですか?菜乃は、行方不明なんですよ?ニュースなどでも聞いていませんか?」 震える声で、菜乃のお母さんが訊いてきた。 「僕はそのニュースは見ていませんが、大体のことは把握しています。 申し遅れました。僕は綺堂 知哉といいます。よろしくお願いします」 俺の名前を聞いた途端、菜乃のお父さんはピクリと眉を動かした。 「綺堂……知哉さん?確か、菜乃と同時期に行方不明になった大学生がそんな名前だったような……」 よかった知っていてくれた。 これで話をしやすい。 「はい。その綺堂 知哉です」
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