皆の家族

7/50
前へ
/2188ページ
次へ
「そ、それなら、もしかして菜乃のことを知っているんですか!?」 俺のことを知った菜乃のお母さんは、大きく身を乗り出して訊いてきた。 「はい。知っています」 二人の顔に動揺が広がった。 菜乃と同時期に行方不明になった俺が一人で現れたのだ。 どういうことか気になるはずだ。 俺をそれを和らげてあげるために、笑みを浮かべながら鞄から手紙を取り出した。 白く綺麗な封筒に、お父さんとお母さんへと書かれている。 「お二人には残念ですが、菜乃さんはまだ帰ってくることはできません。だから、これを預かってきました」 手紙を差し出すと、菜乃のお父さんが受け取った。 「あの、読んでも?」 「もちろん。そのために持ってきたものですから。菜乃さんがお二人に宛てて書いた、お二人のための手紙です」
/2188ページ

最初のコメントを投稿しよう!

27561人が本棚に入れています
本棚に追加