皆の家族

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「あ……ああ……」 菜乃のお母さんは、震える口を押えながら涙を流し始めた。 菜乃のお父さんが、そっと肩を抱く。 「菜乃は、無事なんですね?」 「はい。僕はつい昨日まで一緒にいました。お二人にまた会える日を、とても楽しみにしています。でも……」 俺はそれから少し時間をかけて、菜乃の手紙に書かれていないだろう説明を詳しくした。 「私達は……菜乃に会えないんですか?」 不安を浮かべて尋ねてくる菜乃のお母さんに、俺は眉を下げて口ごもる。 「……今は、無理です。ですが、いずれ必ず菜乃さんは僕がこちらの世界に連れて帰ってみせます」
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