皆の家族

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「信じてもらえてよかったです。ありがとうございます」 お礼をしながらそう言うと、菜乃の両親は笑顔を浮かべた。 「この手紙は間違いなく菜乃の字です。私達に、この手紙を届けてくれて、こちらこそ本当にありがとう」 「お役に立ててよかったです」 菜乃のお父さんに逆にお礼を言われ、俺は少し照れながら頬を掻いた。 菜乃のお母さんは、目を濡らしたまま安堵の笑みを浮かべていた。 「菜乃は、今も元気にしているんですね」 「ええ。僕と同じように飛ばされた仲間と一緒に、楽しくしていると思います」 俺はいなくても、あちらの世界でのみんなの生活は続いていく。 それは、俺がみんなを運ぶための力をつけるまでの間。 お二人はその少しだけの間、待ってもらおう。
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