皆の家族

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その後、菜乃の両親と少し会話をしたあと、もう一つの要件を伝えることにした。 「僕は、またあっちの世界に戻ります。その時に、お二人から菜乃さんに手紙か何かを書いていただきたいのですが、よろしいでしょうか?」 「手紙を、届けてくれるんですか?」 「はい。手紙だけじゃなくても、他に届けたいものがあれば何でもお届けしますよ。まあ、それほど多い量は運べないのですが」 俺は荷物を背負いながら立ち上がった。 「一ヶ月くらいで僕は向こうに戻ります。その時までに書いてくださると助かります。それから、これが僕の連絡先なんで、何かあれば連絡してください」 ポケットからメモ用紙を取り出し、携帯電話の番号を書いて菜乃のお父さんに渡した。 菜乃のお父さんはメモ用紙に視線を落として微笑んだ。 「わかりました。それまでに準備しておきます」
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