皆の家族

12/50
前へ
/2188ページ
次へ
「これから帰られるのですか?もう夜も遅いですし、もしよろしければ泊まっていってもらっていいですよ?」 玄関で靴を履いていると菜乃のお母さんにそう言われたのだが、俺は苦笑しながら首を振った。 「すいません。これから東北まで行かなければいけないんです。ですので、お気持ちは嬉しいのですが、遠慮させていただきます」 俺は二人に向き直り、深々と頭を下げた。 「それでは失礼します」 「本当にありがとうございます」 「このご恩は一生忘れません」 俺は二人に笑って言葉を返す。 「礼には及びません。仲間の、頼みですから」 もう一度二人に頭を下げて、俺は菜乃の家を出た。
/2188ページ

最初のコメントを投稿しよう!

27561人が本棚に入れています
本棚に追加