皆の家族

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「よろしくお願いします」 「はい、よろしくお願いします」 俺は返事をしながら気持ちを落ち着かせていく。 油断ならない相手。 負けるわけにはいかない戦いだ。 徹二さんは俺と一志さんの準備が終わったのを確認して頷いた。 「それでは、始め――」 徹二さんが言い終わるか言い終わらないかくらいのタイミングで、勢いよく一志さんが飛び出し、俺に竹刀を振り下ろしてきた。 シンプルな一撃だが、迷いのない強烈な一撃だ。 竹刀は、俺の腕に振り下ろされていた。 俺は前に出していた左足を引いて体を回し、後退することで一志さんの攻撃を避けた。 が、一志さんはさらに振り下ろした竹刀を俺に向かって突き出してくる。 それをなんとかく察していた俺は、竹刀で一志さんの突きを払い退けて、一旦一志さんから距離を取った。 「おおおお!!一志さんの二連撃を凌いだ!!」 「すっげぇ!!」 周りから大きく歓声が上がる。
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