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「そして、あれが起きた」
止めてよ……。
急に胸が苦しくなってきた。
理玖が次に話す言葉が何かわかっているような、既視感のような感覚に襲われた。
「俺の家の道場から人を出して、戦うことになったんだ。相手の人は道場破りに来たのだから、当然うちの道場の師範と戦うことにしたんだ」
理玖はとてもつらそう顔を上げて、私を見た。
「その人の名前は、暁 明菜。朱莉、君のお母さんだよ」
「……」
言葉を失った。
そ、そんな……理玖の道場が……。
理玖は唇を噛みしめ、再び下を向いた。
「朱莉のお母さんを、植物状態にした道場は、俺の家の道場なんだ」
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