皆の家族

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理玖の家は東北だった……。 確かに、お母さんが事故に会ったのも東北だ。 理玖の道場にお母さんが行った可能性を考えなかったわけではない。 でも……でも……。 私は荒れる心を必死に押さえる。 そして、無理に笑顔を作って理玖を見た。 「な、なんで今そんな話するの?急に……」 「言っただろ。知哉が帰ってくるまでにしておかなければいけない話なんだ。知哉がこの話を知って帰ってくる可能性はある。だから、今話さないといけないんだ」 理玖は俯いたまま早口に説明した。 理玖の言葉を受けながらも、私は必死に動揺を押し殺そうと務める。 「でも、言ったでしょ?別に私は、お母さんのことで誰も恨んでないよ?子どもの頃は怒ったりもしたけど、子どもだったからだし。理玖のお父さんか誰かは知らないけど、何とも思ってないよ」
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