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「違うんだ」
理玖がきつい声で唸った。
「え……?」
理玖はとてもつらそうに顔を上げる。
「どうして、事故が起きて、少しはニュースや新聞で取り上げられたりもしたのに、世間や朱莉の耳に、事故を起こした相手、暁 明菜さんを植物状態にした人の名前が入らなかったと思う?」
ど、どうしてって……。
「じ、事故だから当然なんじゃない?」
私は理玖の言っている意味がわからなかった。
ただ理玖の言葉の先に、何か嫌なものが待っているとだけ、はっきりと感じた。
「そうじゃない……」
理玖は目を伏せて、ゆっくりと首を横に振る。
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