27560人が本棚に入れています
本棚に追加
/2188ページ
「事故だとしても、暁 明菜さんという名前が世間に出てるのに、普通は相手の名前が出ないのはおかしい。その理由は――」
理玖は私の目を真っ直ぐ見返した。
「事故を起こした、暁 明菜さんを植物状態にした相手が、まだ未成年だったからだ」
心臓を掴まれたような衝撃が走った。
わかってしまった。
理玖の言いたいことが。
「暁 明菜さんを植物状態にしたのは、道場の師範をしていた俺の祖父でも、当時はまだ生きていた俺の父でもない。
当時16歳でまだ子どもだった……」
理玖は、はっきりとその先を口にする。
「俺なんだ」
最初のコメントを投稿しよう!