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理玖は机の上で手を組み、うなだれながら話し始めた。
「さっきも言ったが、明菜さんは道場破りに来たこともあり、うちの道場の師範と戦う……予定だったんだ。だけど、俺がでしゃばって、初めに俺と戦わせてくれと申し出たんだ」
理玖は辛そうに顔を歪めた。
組んだ手には爪が食い込んでいて、赤く腫れてしまっている。
「明菜さんは朱莉と同じように戦うことが好きだった人だから、俺の申し出をあっさりと受け、異種競技ではあったが、俺は木の棍で、明菜さんは素手で戦うことになった」
「……」
私は押し黙ったまま、理玖の言葉の続きを待つ。
「でも、戦い始めてすぐ、明菜さんが手を抜いていることに気づいた。俺は、そのことに腹を立てて、必要以上に力を入れて棍を振ってしまった」
そして、と言葉を挟んで理玖は続ける。
「それが、運悪く明菜さんの頭に当たったんだ」
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