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理玖はもう一度辛そうに顔を歪めたあと、ふらふらと立ち上がって玄関に向かっていく。
「すまない……」
最後にそう呟いて、理玖は私の部屋から出て行った。
壁に背中を預け、力なく座り込む。
今まで、お母さんの事故を起こした人に恨みを抱いたことなんて一度もなかった。
自分ではそう思っていた。
だけど、実際その人がわかり、それがまさかこんな近くにいた、理玖だなんて夢にも思わなかった。
「う……くぅ……」
どうしようもなく涙が流れてくる。
理玖のことは怒ってない。
憎んでもない。
それは確かだと思う。
でも……。
「どうして……こんなに……!!」
一人になった部屋で、私は泣き続けた。
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