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――綺堂 知哉
「理玖からその話は聞いていないかね?」
新聞を読んでいると、突然声をかけられた。
声がした方を見ると、徹二さんが扉に手をかけて立っていた。
眉間に皺をよせて、少し困った顔をしている。
「ええ。聞いてないです。でも、この植物状態になった暁 明菜さんというのは……」
「見られてしまっては仕方ない。私の不注意だった。こちらでゆっくり話そう」
徹二さんに促され、俺は新聞を元あった場所に戻して徹二さんに着いていく。
そして、客間のような部屋に通された。
十畳は優に越えている広い部屋。
壁に掛け軸がかけられ、壺などの置物がたくさん置かれている。
俺と徹二さんは向かい合い、畳に敷かれた座布団に腰を下ろした。
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