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俺は徹二さんから、先程の新聞の内容、暁 明菜さんの事故の顛末を聞いた。
俺や理玖と同い年の娘がいたことも教えてくれた。
その娘は、間違いなく朱莉のことだ。
理玖がこのことに気づいていないとは考えにくいが……。
そう言えば、理玖は時折辛そうな顔をしていたのを見たことがある。
やはり気付いていたんだろう。
俺は黙って考え込み、徹二さんも沈黙を貫いていた。
このまま考え込んでも仕方ないので、話題を変えて、ここにきた目的に入るにした。
「理玖は、今はまだ帰ることができませんが、いずれ必ず帰ってきます」
「……わかった。わざわざ伝えてきてくれて、本当にありがとう」
徹二さんは正座をしたまま、礼儀正しく頭を下げた。
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