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「知哉……」
母さんが困ったような顔で玄関に立っていた。
玄関のガラス越しに、何人かの人影が見える。
当然無理矢理入ってくるつもりはないようだが、いくら無視しても帰りそうにない。
「ただいま母さん。いいよ。俺が適当に答えとく。今日もすぐに出ていくから」
俺は二階から持って降りてきた靴を履いて外に出る。
「おお!!綺堂 知哉さん!!今までどこに行かれていたんですか!?」
たちどころに人だかりができて、俺は囲まれてしまった。
母さんや橙乃に迷惑をかけないように、すぐに玄関の扉を閉める。
「あ~ちょっと自分探しの旅に出てました。お騒がせしてすいません」
馬鹿みたいなことを言いながら、適当に取材班をあしらっていく。
同じような問答を何回も繰り返しながら一時間くらい頑張った。
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