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俺の視界に入ったのは、ベッドに横になる一人の女性。
「どうぞ」
「はい」
先生に促されて、俺は眠っている女性に近づいた。
女性の体には何本もの管が繋がれており、さらに最新鋭の設備が並べられ、それらが忙しなく動いている。
その光景が、どれほど重度のものなのかを物語っている。
この人が、朱莉のお母さん……明菜さんか。
意識不明が数年続いている明菜さん。
自分の母親がこのような状況とは一体どのような気持ちなのだろう……。
俺は途中で買ってきたブリザードフラワーの花束を、ベッド横の机に乗せた。
「先生は朱莉とも話したことがあるのですか?」
「ええ、もちろん。朱莉さんとは仲良くさせてもらっていましたよ」
先生は何かを思い出すように、穏やかな笑みを浮かべて目を閉じた。
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