屈託

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「ツバサちゃんのお話、ということでしたね……」 加納さんは悲しそうに眼を伏せながら横にあった棚に目を向けた。 そこには多くの写真が飾られており、その中の一つに、加納さんとツバサが笑い合って写っている写真があった。 「ツバサちゃんは、本当に優しい子でした。私はもともとこの施設にいた人間で、ツバサちゃんのお姉さんとしていましたが、本当に手のかからない子でいつも笑っている子だったんです」 それは俺もわかる。 いつでも笑って、面倒見のいい奴だった。 加納さんは途端に涙が浮かび始め、慌ててハンカチで涙を拭った。 「す、すいません。取り乱してしまって……」 「いえ……」 俺は辛いことを思い出させていることに、罪悪感を覚えずにはいられなかった。
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