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｢それで、お話というのは？｣
｢はい。ツバサがこの施設にきた経緯と、わかるのであれば、ツバサの保護者となった神初さんのことを知りたいんです｣
｢わかりました｣
加納さんは一息ついて、近くの棚から何冊かの本を持ってきた。
そしてそのうちの一つを開くと、ページをめくっていく。
｢えっと、ツバサちゃんがこの施設に来たのは、十数年前に両親が事故で亡くなったためですね。親戚らしい親戚もいなかったので、こちらの施設で引き取ることになったそうです｣
加納さんは手元の本に目を通しながら、俺に説明してくれる。
俺は軽くメモを取りながら、質問を続ける。
｢その、両親というのは、どちらの方なのですか？｣
俺の質問の意図がわからなかったのか、加納さんは少し眉をひそめていた。
｢どちらのと聞かれるとよくわからないのですが、このあたりに住んでいた普通な家庭だったとしか……｣
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