屈託

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ツバサはこの世界の人間で間違いないのか……。 俺の予想では、ツバサは魔界に住んでいた人間で、こちらに来ていたと考えていた。 でも実際は、間違いなくこちらの人間のようだ。 なのにツバサは魔法が使えていた。 それはおそらく、神初さんが一度あちらの世界にツバサを連れて行き、魔法が使えるようになった状態でこちらの世界に帰ってきたということなのだろう。 そうでなければ説明がつかない。 加納さんは続いて、神初さんのことを話し始めた。 「神初さんは、何度もこちらの施設に足を運んで、ツバサちゃんを引き取ることになりました。ただ、特には気になる点というのは……」 資料に目立った点もなかったのか、加納さんは目を細めていた。 「それでは、神初さんの住所などはわかりますか?」 ツバサとかなりの期間付き合っていたのに、俺はツバサの住んでいた家を知らないのだ。 理由はわからないが、ツバサが無理というので止めておいたのだ。 加納さんは手元の資料に目を滑らして、そこにあった部分を読み上げた。
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