屈託

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「ひゃあ~、崖を降りてみたいとかって言ったことはあるけど、さすがに紐なしバンジーは怖いわね~」 伸びている俺の上で、降りてきた部屋の住人、朱莉は言葉とは裏腹に楽しそうに笑っている。 「久しぶりね、理玖」 「……ああ」 朱莉に馬乗りになられたまま、小さく頷いた。 「よいしょっと。はい、理玖」 朱莉は俺から退くと、俺に手を差し出してきた。 俺はその手を掴んで立ち上がる。 久しぶりに見た朱莉は、以前見たときよりも少し痩せたように見えるが、普段と変わらず笑っている。 今は訓練の時によく着ている、半袖短パンのジャージを着ていた。 朱莉は俺の手を握ったまま、俺を真っ直ぐ見ていた。 そして、意を決したように言う。 「少し時間もらっていい?」
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