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「くっ……!!」
俺は頭を押さえて顔をしかめた。
「理玖!!」
近くから声が響いたかと思ったのも束の間、頬に拳が突き刺さった。
「がっ……」
俺は呻き声を上げながら地面を転がっていく。
体勢を整えることもできず、情けなく地面に倒れこんだ。
立ち上がる気力も起きずに倒れたままの俺に、朱莉の声が降ってくる。
「理玖の前にいるのは私のお母さんじゃない!!私なんだよ!?お母さんと戦った時みたいに本気でぶつかってきてよ!!私は今みたいに情けない理玖を見たくない!!」
俺はふらふらと立ち上がった。
殴られたことで頭が覚めていき、先程とは打って変わって心が落ち着いてくる。
そして、真っ直ぐ視線を上げた。
俺の顔を見た朱莉は、満足そうに笑って走り出した。
「私は絶対負けないよ!!」
朱莉は俺の懐に飛び込んで下から拳を打ってくる。
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