屈託

22/23
前へ
/2188ページ
次へ
だけど、俺達は出会った。 ありえないことではあったが、偶然か必然か、距離も世界も越えて、俺達はこの世界で出会ったんだ。 朱莉は体を起こして、憂いに満ちた表情で俺を見た。 「私、ずっと理玖を苦しめてたんだね。本当に、ごめん」 「……なんで、謝るんだ。悪いのは俺だ」 「ううん。私も悪いところはあった。いやでも、どっちも悪くなかったのかな」 朱莉は立ち上がりながら服に着いていた砂を払った。 「あれは本当に事故だったし、理玖が黙ってたのも仕方のないことだったし、私がパニクったのも仕方ないと言えば仕方ないかな。だからさ」 朱莉は笑いながら俺に手を差し伸べた。 「これからはまた、今までみたいに仲良くしてよ」
/2188ページ

最初のコメントを投稿しよう!

27562人が本棚に入れています
本棚に追加