屈託

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差し出された手を見たまま、言葉を詰まらせた。 それに手を伸ばしていいかどうか迷う。 朱莉がどう考えていようが、俺が犯してしまった罪が消えるわけではない。 でも―― 「朱莉は、俺を許してくれるのか?」 恐る恐る尋ねると、朱莉は満面の笑みで微笑んだ。 「許すも何も、私は理玖を怒ってないよ。さ、立って」 もう一度差し出された手を見る。 俺の罪は消えない。 でも、朱莉が許してくれるのであれば―― 俺は朱莉を手を取った。 すぐに朱莉が力強く引き立たせた。 「にししし!!」 間近にある朱莉はとても嬉しそうに笑っていた。 俺は、立ち上がることができる。
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