再び超えて

4/15
前へ
/2188ページ
次へ
「これを菜乃にお願いします」 俺が渡したお土産を持ち直して、菜乃のお母さんはもう一方の手に持っていた封筒を俺に差し出した。 真っ白の封筒で、何枚も入っているのか少し膨らんでいる。 表に綺麗な字で、菜乃へと書かれており、左下に父と母よりと書いてある。 シンプルではあるが、とても温かみを感じる。 「この手紙は必ず届けさせていただきます。そして、次に帰ってくるときには、必ず菜乃さんを連れて帰ってきます」 俺が手紙を胸に頭を下げると、菜乃の両親は穏やかに笑っていた。 「はい。よろしくお願いします」 「病気にかからないようにと伝えてください。あの子は少しの病気でも大変ですからね」 最後に菜乃のお父さんが言ったことに、俺は眉をひそめた。 そこの部分は、何か深い意味が込められているように感じたのだ。 「少しの病気でも大変……というのはどういうことですか?」
/2188ページ

最初のコメントを投稿しよう!

27562人が本棚に入れています
本棚に追加