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「ツバサさんのこと、できるだけ調べておくからね」
「ああ、悪いな」
「いいよ、今更、でしょ?」
伊織は本当にいい奴だけど、こういうことを恥ずかしげもなく言うもんだから、こっちが恥ずかしくなってしまう。
全ての準備が整った。
「それじゃあ、行くから」
俺は目を閉じ、集中を始める。
そして、詠唱。
「我開くは世界の扉、其は神の導き、どこまでも遠く、どこまでも速く、風よ運べ」
魔法式が眩い光を放ち、皆の姿が見えなくなる。
次は、いつになるかわからないけど、必ずまた帰ってくる。
だから、その時までは――
お別れだ。
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