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私は二人の会話に耳を傾けながら、シェキナのスコープを覗き込んでいた。
ずっと先にある動いている的を狙い、引き金に指をかける。
その時だ。
私の視界が、訓練場に入ってくる一人の生徒を捉えた。
その入ってきた人物を見て、私はあっと声を上げた。
「毎日毎日頑張るものだね~」
やってきたのは、火澄君だった。
寒くなってきているためか、学院指定のブレザーをきっちりと着込んでいる。
朱莉ちゃんと理玖君も動きを止めて火澄君を見る。
「どうかしたの?」
私はシェキナを下ろして火澄君に尋ねる。
火澄君は競技大会の後からずいぶん私達に話しかけてくるようになった。
多少嫌味な部分は残っているけど、それでも親しげに話しかけてきてくれる。
私達に負けまいと毎日訓練場に通っているのは知っていたが、ここの訓練場ではない場所だ。
私達が訓練しているときにやってきたのは初めてのことだった。
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