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火澄君は持ち上げた手で自分の目を指差した。
「佐奈ちゃんが魔眼保持者っていう噂が流れているんだ」
私達は驚いて顔を見合わせる。
火澄君の言葉は私達に衝撃を与えるには十分だった。
なんで魔眼のことが知られているんだろう。
佐奈ちゃんは訓練時以外で魔眼なんて使っていない。
訓練時も悠斗さんと優衣さんが細心の注意を払っていた。
一体どこで……。
思い返してもわからない。
私達の反応が予想外だったのか、少し眉を上げながら火澄君は続ける。
「なんでも、何日か前に軍が抜き打ちでブレス魔法学院の視察に来ていたらしくてね。訓練場も含めたいたるところで隠れたり遠くから見たりで、色々ギリギリなことをしていたらしいね。それで視察官の一人が魔眼を見たという眉唾な話だったんだが……」
遠くからの覗き見……不可能ではない。
訓練場は、様々な形をしているものがあるとはいえ、基本的にはほとんど屋外に作られている。
魔法などの大規模なものを使うのであれば当然だ。
私達がいつも使っているここの訓練場もその一つで、広い訓練場が壁に囲まれている。
いくつかある入り口、訓練場外にある高い建物。
そのあたりから気づかれないように覗き見することは、難しいだろうが不可能ではない。
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