国王

7/51
前へ
/2188ページ
次へ
私達の反応を見て、火澄君は冗談ではないと悟ったそうだ。 「僕はこの話を父様から聞いたのだが……。魔脈超導のことはもうどういう原理かわかっていて、それでどうこうするなんて僕も父様も反対なんだけどね……。軍のお偉いさんにはまだ昔の考えを引きずる人間もいる。国王様はそういったことには絶対反対で活動してはいるが、まだ払拭できてないのが現実だ」 火澄君は難しそうに顔を歪めながら頭を掻く。 そして、また真剣な顔になって、時計を見た。 「もし、あの子が魔眼保持者というのが事実なら急いだ方がいい」 「急ぐ?それはどういう意味だ?」 「さっきも言ったけど、軍には魔脈超導者を良い目で見ない人間もいる。しかも、運悪く視察をしていた人間はそっち側の人間だ。これがどういう意味か分かるだろ?」 私の背中に嫌なものが走った。 「今日、軍から魔脈超導者を捕縛するためのチームが派遣された。早ければそろそろ着く頃だ」 私達は武器を基礎状態に戻して走り出した。 「ありがと火澄!!恩に着るわ!!」 「助かる」 「今度またお礼するから!!」 私達は火澄君の横を通り過ぎながら、口々にお礼を言って駆けていく。 「気にしなくていい」 火澄君は小さく笑いながら、手を挙げて答えていた。
/2188ページ

最初のコメントを投稿しよう!

27562人が本棚に入れています
本棚に追加