27562人が本棚に入れています
本棚に追加
私達の反応を見て、火澄君は冗談ではないと悟ったそうだ。
「僕はこの話を父様から聞いたのだが……。魔脈超導のことはもうどういう原理かわかっていて、それでどうこうするなんて僕も父様も反対なんだけどね……。軍のお偉いさんにはまだ昔の考えを引きずる人間もいる。国王様はそういったことには絶対反対で活動してはいるが、まだ払拭できてないのが現実だ」
火澄君は難しそうに顔を歪めながら頭を掻く。
そして、また真剣な顔になって、時計を見た。
「もし、あの子が魔眼保持者というのが事実なら急いだ方がいい」
「急ぐ?それはどういう意味だ?」
「さっきも言ったけど、軍には魔脈超導者を良い目で見ない人間もいる。しかも、運悪く視察をしていた人間はそっち側の人間だ。これがどういう意味か分かるだろ?」
私の背中に嫌なものが走った。
「今日、軍から魔脈超導者を捕縛するためのチームが派遣された。早ければそろそろ着く頃だ」
私達は武器を基礎状態に戻して走り出した。
「ありがと火澄!!恩に着るわ!!」
「助かる」
「今度またお礼するから!!」
私達は火澄君の横を通り過ぎながら、口々にお礼を言って駆けていく。
「気にしなくていい」
火澄君は小さく笑いながら、手を挙げて答えていた。
最初のコメントを投稿しよう!