国王

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しがみ付かれている優衣さんは、冷たい視線を変えずに、口を開いた。 「お兄様。挨拶はあとで。先にこの人達の対処をお願いします」 「「「「お、お兄様ああああ!?」」」」 ど、どういうこと!? 国王様が優衣さんのお兄様!? 驚いていたのは俺達だけではなく指揮官も同じだった。 「ま、まさか、そちらの方は……」 いきなりの事実に驚いている指揮官に、悠斗さんはニヤリと笑いながら言う。 「その通りだ。お前は軍人に逆らってとか言ってたが、お前らはもっと凄い人に逆らってるんだよ」 その時国王様は我に返り、優衣さんから唸りながら離れた。 「う、うむ……そうだったな」 国王様はキッと緩んでいた表情を引き締めると、怯え竦んでいる軍人達の方を向き直った。 「お前達が魔眼保持者を捕まえに来たという軍人達だな」 急に威厳のある重々しい声に変わり、その声を聞いた軍人達が顔を青ざめさせる。 「しかもなんだ?私のために魔眼保持者を捕まえるなどと言ったそうだな?どういうつもりだ?」 初対面の俺でもわかるほど国王様から怒りが伝わってきて、軍人達は怯えきってしまっている。 国王様がすっと手を上げると、優衣さんがクロトを引いた。 そして、国王様はゆっくりと軍人達に近づいていく。
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