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「ああ、えと……ごめん。でも、それは仕方ないことだし、ちゃんと帰ってこれたから。だから菜乃」
俺が呼びかけると、菜乃は頬を濡らした顔を上げた。
「ただいま」
菜乃は涙を流しながらも、にっこりと笑って頷いた。
「うん。おかえり。手紙、ちゃんと読ませてもらうね」
「ああ」
菜乃が手紙を読みに近くにあった部屋に入り、俺は若干怠い体を動かしながらリビングへと向かった。
うるさい軍人達は帰ったのだが、それでもさっきまで悠斗さんと国王様が騒いでいた。
しかし今は静かになっている。
リビングに顔を覗かせると、そこでは優衣さんと月島さんがゆったりとお茶を飲んでいた。
悠斗さんと国王様、それと佐奈の姿はない。
「あの~、悠斗さん達はどこに行ったんですか?」
俺がおずおずと尋ねると、優衣さんがティーカップを置いて笑った。
「悠斗とお兄様は街に遊びに行かれました。佐奈ちゃんもお兄様が一緒にということで連れていかれました」
……あの二人、実はすっごく仲がいいんじゃないか?
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