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俺の言葉を受けて、優衣さんは申し訳なさそうに肩を竦めていた。
「すいません。別に隠していたわけではないのですが、話すタイミングがなくて……」
そして、さっと顔を赤らめて頬に手をついた。
「悠斗のことは、えっと、そうですね。ちょっと話すのが恥ずかしくて……」
な、なんと、優衣さんが照れている。
常日頃から何事にも笑みを浮かべている優衣さんからは想像もできない姿だ。
いつもお姉さんしている優衣さんがとてもかわいい女の子に見えた。
「国王であるお兄様の妹であることは、本当に話すタイミングがありませんでしたね」
確かに俺達は魔法やこの世界のことに関心は持っても、帰ることだけが目的だったからミネルヴァ国のことはそれほど関心を持たなかったからな。
「先生が悠斗を助けて、ミネルヴァに連れてきた時に初めて私達は会ったんです。それ以来の付き合いですから、10年以上の幼馴染ですね。それで、私が外の世界に憧れていたこともあり、たまに先生が連れだしてくれたんです。それから数年前、悠斗がブレスの魔法学院に行くということになりました。それで、外の世界に行きたかった私もついていきたいと言ったんです。ですが……」
「一国の王女がそう簡単に別の都市の学院には通えない、ですか?」
「ええ。何年も前に両親が他界していたため、お兄様は若くして王になっていたので、私が王位につくことはなかったのですが、それでも臣下の人達に止められまして」
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