国王

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月島さんは笑ってきっぱりと言う。 「いえ、まったく」 「……」 ……。 「わかるわけないじゃないですか。魔脈超導の魔法式は同じアナライズをもってしてもほとんど理解できないんですよ。その能力を持っていない私には雀の涙くらいのことしかわかりません」 「は、はぁ……」 そんな自信たっぷりに言われても。 「私にとって、わからないこと程面白いということですよ」 そこはさすが研究者ということなのだろう。 月島さんは一人でぶつぶつと言いながら、紙に俺の魔法式を書き込んで顔を輝かせていた。 しばらく紙を見ていた月島さんだが、不意に何かを思い出したかのように顔を上げた。 「あ、そう言えば、腐界の人間にも会ったそうですね。君達の人生は本当に波乱万丈だ。ほとんどの人間が一生に一度として経験しないようなことをいくつも経験している」 それはそうなのだが、こちらとしてもらえばご勘弁していただきたいところだ。 俺は苦笑しながらそう思った。
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