国王

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国王様がむくりと立ち上がった。 「そう言ってもらえると、私達も仕事し甲斐があるというものだ。なんでも頼ってくれたまえ」 ……ああ、国王様かっこいい。 顔を腫らして鼻血を流してなかったら完璧だったろう。 月島さんがそれをやんわりと指摘すると、国王様は消えるように逃げ出し、おそらく洗面所に駆け込み、さわやかな笑みとともに戻ってきた。 こうして見ると、優衣さんと兄妹なんだとよくわかる。 同じ綺麗な金髪を王らしく整え、彫りの深い顔には威厳がある。 まあ今までのことで台無しだが……。 帰ってくるなり、国王様は俺達の方を向いて微笑んだ。 「君達が異世界からの旅人だね。初めまして、私はミネルヴァ国現国王、皇 勇雷だ。君達のことは報告で聞いているよ。大変な境遇でありながら、短期間ですごい成長を遂げて、一人は空間転移の魔法を使えたとか。中々見所があるね」 報告とかされてたのか……。 その後、俺達も緊張しながらぎこちなく自己紹介をした。
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