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「私の名前は、前本愛音。愛の音で、アイネって読むの」
「違う。俺が訊きたいのは、そんなんじゃなくて……」
「ゆっちぃ、赤ちゃんの名前どうする? な~んて。実はね、もう決めてあるんだァ♪」
ダメだ。
話が全く噛み合わない。
前本さんはずっと笑顔だけど、それが逆に怖いし。
何を言っても、通じなそうだから……。
「行こう、真央」
「……優クン」
俺は真央を促し、彼女の手を引いてこの場から離れることにした。
「待ってよ、ゆっちぃ。どこ行くの?」
「…………」
「どうして、その女と手を繋いでるの? ゆっちぃ? ねェ、ゆっちぃってば!」
俺を変なあだ名で呼ぶ前本さんの声を無視し、真央を連れて足早に公園を去った。
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