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「ゆっちぃ! もォ、どうしてすぐに出てくれないの?」
のっけからテンションの高い前本さんは、何も喋らない俺に構わず話続ける。
「それに1回目はすぐに切れちゃうし。どうしたの? 何かあったの?」
質問されても俺は、答えない。
電話には出たものの、彼女と何を話せばいいのかわからなくなっていたからだ。
「さっきは、あの女を連れて先に帰っちゃうし。ねェ、どうして?」
「…………」
「あの女に何か弱味でも握られてるの? 脅されてるんでしょ? そうなんでしょ、ゆっちぃ?」
どうして、そんな考えに至るんだ?
俺はそれを否定しようと思ったが、公園でのこともあり、前本さんに話が通じるのかと躊躇した時、
「あの女、私が殺そっか?」
恐ろしい一言が、左耳に響いた。
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