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白浜灯夜、今年で十五歳。いたって普通の男子中学生だ。
勉強はそこそこ、運動もそこそこ。趣味はゲームに漫画、それから……料理。最後を除けば、どこにでもいるようなガキんちょだと自負している。
そんな俺が、どうしてこんな、訳のわからない奴に声を掛けられているのだろうか。
「僕を匿ってくれないか」
真っ白い髪に、漆黒の目。服は白を基調とした軍服のようなもので、腰には黒い布を無造作に巻いている。
(コスプレ……生で初めて見た)
投げ掛けられた言葉より、その姿に唖然とした。こんな昼間から、しかもこんな田舎で、コスプレのまま出歩くなんて常人のすることじゃない。
見た目から察するに、もう成人も済ませたいい大人だろう。関わらない方が身のためだ。
俺は軽く頭を下げて通りすぎた。
「あっ、待って待って! 一日だけでもいいんだ。お願い、匿って!!」
変質者に一日も糞もあるか! 振り返って怒鳴りたいのを我慢し、何とか気にしないように歩を進める。が、
「お願いだよトーヤ君!!」
「っな……!?」
変質者――白い男――が出した名前に、思わず俺は振り向いた。
「なんで俺の名前を知ってるんだ!!」
静かだった胸の鼓動が速くなる。
男が俺に声を掛けたのは偶然だと思っていたのに、これは計画的なものだったのだろうか。
しかし、なぜ――。
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