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クリスマスが近い。窓の下の道路に、マフラーをした若い男女が歩く。うらめしく思うことはないが、少々寂しい、かもしれない。
「ほら。リンゴ」
妹の手渡した真っ白な皿の上のリンゴを一つかじりながら、私は毛糸のマフラーを編んでいた。それは、もう少しで完成する。
「それってさ、誰に作ってるの?」
「教えない」と私は言う。
「ね、誰にも言わないからさ。言ってみてよ」
「ダメだってば」
リンゴの一切れを押しつけると、彼女は不満そうな顔をしながらそれをかじった。
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