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『では…お客様がお亡くなりになる時に、魂を頂きに上がります』
私の目の前で、シルクハットを被りタキシードを着こなした人物が…優雅に最敬礼をし、消えていった。
その次の瞬間、私は目を覚ます…
目を覚まし、周りを見渡せば…目に写るのは無機質な機械が並んだ病室の中…
医者に末期癌と宣告されてから、毎日のように同じ夢を見る。あの人物は誰だったろうか…
思い出せない…
まぁ…死期が近いせいもあるからなのだろうが…本当に奇妙な夢を見るものだ。
『魂を頂きに…か』
ははは…まるで契約の対価に魂を要求する、古の悪魔のような物言いじゃないか。
『夢ではございませぬぞ、お客様』
どこかからそんな声が聞こえた。首を上げ…病室の中を見回すと…入り口の側に、あの夢に出て来た人物が居た。
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