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『はじめまして!この度はお呼び出し頂き、誠にありがとうございます!
私は…え?呼び出したから解るって…まぁまぁ…そう言わず、名乗らせて下さいませ…
ええ…と、私の名前は(悪魔)ベリアルと申します』
魔法陣の中に現れた…黒いタキシードを着こなした、端正な顔をした悪魔は…その顔に慇懃な笑みを浮かべつつ、優雅に最敬礼をしてみせた。
『あれ?甲冑を着ているんじゃないのか?』
怪訝な顔をする俺に、悪魔はなんとも言えない表情を浮かべる。
『ああ、あれは昔、気に入っていたスタイルでして…今はタキシードにシルクハット、黒いマントにステッキが気に入っておりまして…
ええ…イメージと違う点は、どうかご容赦を…
え?地獄の侯爵で42の軍団を統括する悪魔の筈なのに、威厳のかけらも無いですと?』
俺の心を読んだのか、悪魔はそう言葉を続ける。
『お客様…本当によく御存知ですね。私、お客様のおっしゃる通り…そのような身分にありますが…最近は週休二日制とか「週40時間以上働かすな!」などと…私めの下の者どもがうるさくて、うるさくて…
ええ…人間の世界と同じく、我々の世界も世知辛くなってきておりましてね…
ええ…このスタイルになったのも、実はそれが理由の一つでして…侯爵と言えど率先して働かないと、下の者どもが不平不満を垂らすだけで仕事すらしないのですよ』
悪魔はため息をつき、仕方なさげに首を振った。
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