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それは嵐の夜のことだった。
「………」
鋼牙が息を切らして走って来た。
その日は父親も母親も留守だった朱華は冴島邸に居たが窓から見た鋼牙の異変に気づき居間に降りていた。
鋼牙は何も言わず手を握りしめていた。その手の中には血まみれの魔導輪。
怪我した手でずっと握りしめていたのであろう。尖った尖端が皮膚に食い込んでいた
「鋼牙様…どうしたの?」
朱華の問いかけにも答えずただただ自分を責めていた。
痛々しいほど。
かける言葉が見つからず朱華はそっと瞼を伏せた。
怪我の手当ての間だも鋼牙はずっと何も言わなかった。
だから朱華も何も言わなかった
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