彼、甘くない

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中学の時から通い続けている塾には、週三日。 「はぁい、じゃあ授業始めるぞー」 塾内でも自分のキャラは変わらず、四年通っても友達が多い方じゃない。 そんな俺に、最初から殻なしに近付いてきたのが、瀬野蘭だった。 結論的に言おう。 俺は多分、部長、瀬野蘭に惹かれている。 ひたすらに明るくて、裏表がなくて、正直な人。 近付いてみたい、と思った。 彼女のことを知りたいな、と思って、後押しされるように部員にまでなってしまった。 『楽器経験者じゃなくても大丈夫。うちが保障する』 入部するにあたって、吹奏楽部に姉のいる藤堂普一郎に相談を持ちかけた。 当然、何故入部をするのかと迫られる羽目になり、しつこく詮索されるのが嫌だった俺は、藤堂にだけ本心を伝えた。 『はっ木ノ内に好きな人!?』 晴天の霹靂、とまで言われたが、藤堂は馬鹿にすることなく、好意的に入部への誘導係を務めてくれた。 ただ、その好意がたまに鬱陶しく思えることもあるけど。
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