4641人が本棚に入れています
本棚に追加
/523ページ
中学の時から通い続けている塾には、週三日。
「はぁい、じゃあ授業始めるぞー」
塾内でも自分のキャラは変わらず、四年通っても友達が多い方じゃない。
そんな俺に、最初から殻なしに近付いてきたのが、瀬野蘭だった。
結論的に言おう。
俺は多分、部長、瀬野蘭に惹かれている。
ひたすらに明るくて、裏表がなくて、正直な人。
近付いてみたい、と思った。
彼女のことを知りたいな、と思って、後押しされるように部員にまでなってしまった。
『楽器経験者じゃなくても大丈夫。うちが保障する』
入部するにあたって、吹奏楽部に姉のいる藤堂普一郎に相談を持ちかけた。
当然、何故入部をするのかと迫られる羽目になり、しつこく詮索されるのが嫌だった俺は、藤堂にだけ本心を伝えた。
『はっ木ノ内に好きな人!?』
晴天の霹靂、とまで言われたが、藤堂は馬鹿にすることなく、好意的に入部への誘導係を務めてくれた。
ただ、その好意がたまに鬱陶しく思えることもあるけど。
最初のコメントを投稿しよう!