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「リードはどの厚さですか?」
「……厚さ」
「分かりません?……あ、もしかして初心者さんですか」
「そうですけど」
すると、俺の顔を見て数秒後、微かに店員はクスリと笑ったような気がした。
――今、馬鹿にした……?
よく見ると名札にアルバイトだと書いてある男性店員は、自分と年齢が違わなく思える。
高校生にもなって初心者とかウケるってこと。
「初心者さんならまず……」
「もういいです、自分で探します」
「え、でも」
「結構です」
小馬鹿にしてるような態度にイラッときて、俺はメモを返してもらうとその場にしゃがみ込んだ。
――どうしよ。
自分から突き放したものの、何も分からないからどうにもできない。
所在なげにトレーを眺め、周りに目をやる。
他のスタッフに頼るか。
でもそんな中、ガラス棚の中に置かれているうん十万するクラリネットを真剣に見つめる後姿を、奇跡的に見つけてしまった。
のこのこ近付き、腕を引っ張ってみる。
「助けて下さい」
「ひっ」
振り返るよりも先にビクつく彼女は、俺を見ると薄ら唇を開いた。
「……木ノ内君、来てたんだ」
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