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10階建ての少し大きなビルの屋上に備え付けられた高い柵を手だけで簡単によじ登り、柵の上に立つ彼。
今、彼がいる大きなビルの柵の外に広がるのは外の群青と黒の間のような色をした透き通った空と沢山の家の明かりが漏れ出している村の景色のみ。もし、この柵から落ちたら、普通の人間ならば大切な命を落としても可笑しくはないであろう。
現にそういう方法の自殺者も数多く存在する。
しかし彼は、明るく輝いた笑みを浮
かべて足を振り投げ・・・飛び降りた。
落ちる距離が地表に近づくごとに加速していく。
このままでは彼の体に強大な重力がのしかかり、確実に死んでしまうであろう・・・。
・・・その時だった。
彼は背中にある一対の純白な翼を小鳥のように羽ばたかせて。
そして・・・。
バササっ
そして、彼は・・・何故かそのまま真っ逆さまに落ちていき、病院の近くに植えられていた沢山の黄色い葉が生い茂るイチョウの木に突っ込んでいった・・・。
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