少年との出会い

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パチパチパチ 後ろから誰かが拍手をする音が理真の鼓膜に伝わってきた。 慌てて後ろを振り返る理真。 見ると、1m以上も離れた場所にいる少年が理真に向かって手を叩き、拍手をしている。 「へー。凄いね、おじさん。」 大きな黒目に肩まで伸ばしている栗色の髪を持ち合わせた その少年は、見ている人を和ませるような あどけない笑みを浮かべていた。 その可愛らしい様子と130cm位の身長から年齢を9~11歳ぐらいであろうと理真は予測した。 しかし、現在の時刻は午後11時・・・。 いくら田舎であるこの村の住人でも子供を外で、しかも1人では、うろつかせられるような時間ではない。 しかし少年は、そんな事など全く気にせずに理真に近づいてくる。 「屋上から飛び降りても無傷なんて・・・信じられない・・・。」 そう言われ理真は若干焦りを感じたが、少年に勘付かれぬように言葉を考え、ゆっくりと喋り始めた。 「絶対に真似すんなよ?普通の人間がやったら死ぬから・・・ってか見てたのか?」 しかし、理真はせっかく考えた言葉のあとに、一瞬頭によぎった思いをくっつけてしまった。 でも、もし羽を見られていたら・・・また失敗となり、怒られるハメになる・・・。 そう思ってると、目の前にいる少年は極上の笑みで喋った。 「・・・うんっ!」 ・・・終わったな・・・。 理真が顔を下に向け、真っ青になっていると、少年は再び口を開いた。 「でもね・・・。惜しかったんだよね・・・。」
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