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母さんのお見舞いに行っている間、私の心は休まらなかった。気付かれていないようだけれど。
考えないようにしても、私が行っていた店が気になって仕方がない。
愛着とかそんなのではなく、ただ私に捜査の手が及ぶのが怖かった。
だって、だって私は母の為とは言え、犯罪に手を染めたんだ…。
母さんへのお見舞いが終わって、病院を出ると私はすぐにあの店に向かう。
通い慣れた路地裏を通る。
一定の所まで来ると一目で警察関係者だと分かる風体の大人達がいて、そこから向こうへは安易に立ち入ることが出来ず、仕方なく表の通りに出る。
報道陣がチラホラと見え、警察官が店の周りに立っていて警備をしてる。
私は目の前の光景に言葉は出来なかった。
(なにこれ、こんなのって…こんなのってあるの?!)
店のバックについていた組は、警察も迂闊に手出しが出来ないくらい有名で恐ろしく巨大。
そんな奴らが簡単に検挙されるなんて…。
(あり得るはずがない…)
呆然と立ち尽くしていると、近くの報道陣がニュースを伝えているのが聞こえた。
「なお、この店の系列店も同様に一斉に摘発されたとの情報が…」
自分の耳を疑う。
あの店は業界一のシェアを誇る言わば大手だ。
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