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ーー 日本 某所
ーー 某繁華街
ネオンがまぶしく、華やかに見える夜の街。
路地裏に一歩入ればそこは華やかな世界が作り出す、小汚い闇が広がっている。
私は15歳にしてこの闇の世界にいるの。
強制的に入れられたんじゃない、私自らが望んで入った。
理由は笑ってしまうほど簡単だった、私には本当にお金が必要だから。
今日も私は仮面をかぶって、聞き分けのない客を丁寧に接客して路地裏に捨てた。
「おや。 もう終わったの? 中学生なのに強いねぇ」
やっぱり、気が重いな…。
気を失う若い男性客を見下ろしていると、私のすぐ脇のドアが開き、小太りでひげ面の中年の男が顔を出す。
この男は、私の雇い主。
それを無視して今し方私が落とした男に歩み寄って、男の脇に落ちているカバンを拾った。
中から財布を取り出すとカバンを投げ捨て、ひげ面の男に財布を差し出す。
「…はい、店長」
「はぁい、ご苦労さまぁ」
私が差し出した財布を、にやつきながら受け取ると、店長は財布を物色し始めた。
…私の仕事、このイカサマを働く店の"用心棒"。
この店のバックには有力なヤクザがついている。
その虎の威を借る狐なんだろうね、やりたい放題の悪徳業者だ。
ひげ面の店長は財布から抜き取った数万円の内、1万円を私に差し出す。
私はそれを静かに受け取った。
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