5494人が本棚に入れています
本棚に追加
/950ページ
「ご苦労様。 近頃はロリコンのお客さんが増えていてねぇ、中で働いていくかぁい?」
私の身体を見て、にやけている店長を冷たく睨む。
あんたもロリコンだもんね。
「……じょ、冗談だよ。 ほら今日はもう上がっていいから」
そう言うと店長は開けっ放しだったドアから店の中に入っていった。
この店はガールズバーとして看板を掲げているけど、いかがわしいことが毎夜くり広げられている。
大人って嫌い…。
自分の娘と変わらない歳の子を金で買って、家では家族や娘と変哲のない生活を送っているんだから。
……反吐が出る。
今日稼いだ金額は12万円。
言っとくけど…別にこんな事、好きでやってるんじゃないよ。
小さい頃に習ってた武術をこんな風に使いたい訳じゃない。
中学生の私が大金を手に入れる為…そう、私には大金が必要なのだから。
仕事終わりにいつもこんな事を思いながら、私は家に帰る。
父は私が3つの時に他界して、母さんが女手一つで私を育ててくれた。
だけど、長年の無理が祟ったのか、今年の初めに癌(ガン)に倒れ、更には色んな病気が見つかった。
だから、今では入院している。
保険らしい保険に入っていなかった母さんを助けるには、手術が必要で、国の制度やらなんやら手は打ったけれど、それも限界があって…大金が必要だった。
だから今、私はこうしてお金を荒稼ぎしているの。
……こんな事をして貯めたお金で母さんが助かっても母さんは喜びはしないのは分かってるよ。
でも…私にはこうするしか大金を稼ぐ方法はないんだ。手段を選ぶ暇なんてなんいんだ。
私は…ずっと、ずっとずっと強い背徳感に襲われてた。
水の中に潜るように息を止めて、感情を殺して、淡々とお金を稼がないと。大切な母さんの為に。
最初のコメントを投稿しよう!